うみねこのブルース

わたしたちは自由だからブルースだって歌ってやる

夏が終わってしまう前にもう一度観たい『すいか』

すいかといえば、赤い果肉に黒と緑のシマシマに覆われた果実。

夏になったら食べずには居られない。

 

そうめんを食べることや「最後の花火に今年もなったな」と心の中(もしくはtwitter)で呟くことは夏の定例であり、もはや強迫観念のように、夏になったらしなければならない気がしてしまう。

 

 

その中でも『すいか』を見ることもこのうちの一つに入る。

小林聡美演じる信用金庫のOLが主人公のドラマ。このドラマがやっていた時が大塚愛の大ブームの真っ只中で、『さくらんぼ』の前に出してた曲が使われてたドラマだよな、という印象だけはあった。その頃は中学生だったのでドラマを見ることはなく、実際に初めて観たのは上京してからだった。それからというもの、果物のすいかと同様に大好物で夏に1度では飽き足らず、3度くらい観る夏もある。

 

 

今年はバンドの再結成や再始動に沸いた年でもあったが、仮に「復活してほしい/続編をやって欲しいものランキング」を作るとすれば、第一位にすいかがランクインする。(余談だが、2位としてはandymoriの復活を心待ちにしている。)

 

シェアハウス『ハピネス三茶』と住人たち 

わたしが上京して初めて住んだのはシェアハウスだった。

本来であれば、実家から片道2時間強という地獄の通学をするはずだったが、姉がどこぞの掲示板から見つけてきたのがシェアハウスだった。家具家電付き、家賃は3万円を切る。大家さんは学生だからとネット代は無料にしてくれた。

 

 

そのシェアハウスに住んでいた約3年半(1年くらい友人の家に週5以上住んでいたので実質2年半くらい)の間、色んな住人と会った。サバサバという形容詞の似合う一回り上のOLさん、上の階に住んでいたコントレックスを箱買いしていた相対性理論の歌詞みたいなOLさんパート2、トイレットペーパーをギリギリまで使うけれど決して新しいものに交換しない大学生、旅をしすぎてリベラルになりすぎてしまったのか人のコップを勝手に使ったり家賃を滞納して大家さんと喧嘩する放浪者・・・etc。

 

 

特にサバサバOLとは結構仲が良く、一緒にTVを観ながらご飯を食べたり、サバサバOLが引っ越したときは手紙を渡したりした。サバサバOLは猫用のササミのエサをわたしに託してくれた(そのシェアハウスではたくさん猫を飼っていた)。大家さんは、2階の一室に住んでおり、まるで主夫のような家事力のある木のような優しいおじさん(一応会社勤めはしているらしかった)で、庭で採れた野菜で色んなご飯を作ってくれた。サフランライスをわざわざ炊いてパエリアを作ったときはさすがに驚いた。旅好きな大家さんだったので、各国のお土産もよく買ってきてくれた。

 

 

すいかに出てくる『ハピネス三茶』は名前のごとく、東京の三軒茶屋にあるという設定のシェアハウスだ。ゆかという大学生がお父さんの代わりに大家をしている、賄い付きという珍しいタイプ。住人たちが朝食の食卓について、各々お目当ての欄を読むために一枚の新聞を順々にまわしていくシーンが微笑ましい。

 

 

女の人が集まっていると嫌な雰囲気が漂いがちだが、ハピネス三茶からはそういうギスギスしたものは感じられない。浅丘ルリ子演じる大学教授、ともさかりえ演じるエロ漫画家。住人のジャンルが違いすぎる、というのがその理由の一つかもしれない。よくもまあこのキャストが集まったな、と今考えるとその発想に感服してしまう。

 

 

個人的には初め、あの中にキョンキョンが出ていることが違和感があったのだけれど、何度も見ているうちに、馬場ちゃんはキョンキョンにしか演じられないなと感じる。もちろん、泥舟のママも刑事の役も、あのキャストじゃないとしっくりこない(但し、金子貴俊さんだけは観ていてウッときてしまうので、千葉雄大のような可愛い男子にやって欲しい)。

 

地球滅亡と変わらない日常

ノストラダムスの予言である1999年のハルマゲドン、実際にその年に地球滅亡は起こらなかった。ジョージ・オーウェルの『1984』や未来人の予言など、色んな未来予想図・地球滅亡説があるけれど、案外地球はしぶとく生きぬいている。とはいえ日本列島も災害が頻発して、東京オリンピックまでに東京が存在してるのかという気もしてしまう。

 

 

「ハルマゲドン」が過去の回想時ともう一度、ドラマ中に出てくる。地球滅亡とは打って変わって、ハピネス三茶では穏やかな日常が繰り広げられている。ハルマゲドンや馬場ちゃんの3億円横領事件のような大事件と、住人が繰り広げる毎日の些細な出来事の対比がすごい。激動の人生を過ごす人と平凡な人生を過ごす人、決して人の一生に起きる出来事の凸凹は平等じゃないんだと感じる。

 

 

主人公の基子さんは信用金庫のOLで、いわばお局状態。キャピキャピした若い子に囲まれて、親には結婚を催促され、会社でも家でも肩身の狭い思いをしていた。そんなときに、ハピネス三茶に導かれていく。基子さんの人生はそれまではただ退屈な人生だったのかもしれないけれど、ハピネス三茶に住めたなら、ある意味勝ち組ではないかとわたしは感じてしまう。

 

 

先日、阿佐ヶ谷姉妹の共同生活がハフィントンポストで記事になっていた。血の繋がっていない人たちが一つ屋根の下で一緒に暮らすというはとてもいいことだと思う。本来、家とは家族が住む場所、血縁のあるものが暮らすところである。しかし、家族は距離が近すぎるのもあんまりよろしいものではない。殺人の多くが血縁の親族内で起きているということからも良くわかる。血の繋がっていない他人だからこそ、人に干渉しすぎることはなく、けれど互いを気にかけて暮らす、というのができるのかもしれない。

 

最後に

縁側ですいかをみんなで頬張るというのは、格別とは言わないまでも、究極の幸せな光景なのかもしれない。生きていると大きな出来事に目が行きがちだけれど、平凡な日常が続くことは気づかないだけで結構幸せなことだと思う。

 

かなりの『すいか』ファンを自称していたつもりだったのだが、この記事を書くのをきっかけに『すいか2』というその後の基子さんたちを描いたという文庫本が出ていたことを知った。『すいか』ファンとして失格だなと猛省している。猛省していると書く時、たいてい人はそんなに猛省はしていない。今回は反省している、くらいに改めておこうと思う。速攻でAmazonにて注文し、存分に堪能するつもりである。楽しみが出来た。

 

そして、どうか浅丘ルリ子さんがご存命のうちに、1話分でもいいから実写でやって欲しいと切望するばかり。

 

すいか DVD-BOX (4枚組)

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すいか 1 (河出文庫)

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すいか 2 (河出文庫)

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