うみねこのブルース

わたしたちは自由だからブルースだって歌ってやる

口紅とドモホルンリンクルを足したような名前

春のこもれ陽の中で君のやさしさに

 うもれていたぼくは弱虫だったんだよね 

                森田童子『ぼくたちの失敗』

 

 

黒木華がカラオケバーのようなところで、この曲を歌うシーンは何度見ても惚れ惚れしてしまう。

 

 

 

数年前、下高井戸シネマに『リップヴァンウィンクルの花嫁』をレイトショーで観に行った。東京にある名画座の中でも特に思い入れのある映画館。当時憧れていた先輩に誘われて写真家のドキュメンタリーを観に行ったのが最初だった。もうその先輩もいまは結婚して、会社を起こしたと聞いている。懐かしきおもひで。その後も、下北沢の美容室で髪を切った帰りに寄ったり、仕事が終わってからふらっとレイトショーを観に行ったりした。映画が終わってから近くの銭湯に入って帰ったこともあった。20代前半の思い出が詰まった映画館の一つ。

 

 

 

リップヴァンウィンクルの花嫁』。なかなか覚えられないタイトルだ。あの口紅とドモホルンリンクルが合わさったみたいな名前の、花嫁が主人公らしい映画だな、観るまではそういう認識だった。

 

 

主人公は黒木華。今はほとんど疎遠になってしまった元ルームメイトにすごくよく似ている。ふわふわした綿飴のような、見ていてこちらが心配になってしまいそうな役柄。現実的にこんな人がいたら、わたしは仲良くなれないかもしれない。もっとシャキッとしたら良いのに、とボソッと呟いてしまいそう。なよなよしたタイプが苦手なのだ。そもそも、似ているルームメイトと仲が良かったのも不思議な話ではある。

 

umineko-blues.hatenablog.com

 

 

何度観ても思うことは、綾野剛演じる何でも屋が何を考えているのかさっぱり分からないということ。本心が全くわからないのが不気味だ。ある意味ホラーでもある。わたしが個人的に意外だったのは、それまで綾野剛に対して特に何の感情も持っていなかった(冷酷そうなイメージはあった)のにもかかわらず、この映画を観てから綾野剛の大ファンになってしまったことだった。まんまと何でも屋安室に引き込まれてしまった。是非綾野剛の魅力にまだ気付いておられない方には観ていただきたい。

 

 

 

そして、ライブを観て涙を流すことが全くと言っていいほどない私だが、andymoriCoccoにだけは涙を流した。全くもって自慢することじゃないが、わたしはメンヘラに片足を突っ込んでいる人間である。中学生からCoccoの歌詞に酔いしれては感傷に浸っていた。根っからのおセンチメンヘラ人間である。歌声がCoccoにそっくりだと言ってもらえるくらいには聴き尽くしたつもり。(特に一番聴いた曲はRaining。ブロガーもすなるYoutube貼り付けといふものを、うみねこもしてみんとてするなり。ちょっとリップヴァンウィンクルの花嫁に雰囲気が似ている。)

 


Cocco - Raining 【VIDEO CLIP SHORT】

 

Coccoの役柄をよく知らずに観に言ったのだが、レイトショーである意味良かった。周りから主に男性のクスクス声が結構聞こえてきて、つられて私も普通に声に出して笑いながら観ていた。レイトショーって年齢層が上なぶん、オープンな感じがすごく好きだ。途中からはみんな声を出して笑って、館内の一体感すら感じられた。

 

 

 

この映画の特徴的な部分として、現代的な描写が多いこと。黒木華演じる七海が結婚相手と知り合ったのは所謂ツイッターのようなSNSで、Coccoの演じる真白さんと出会うきっかけは結婚式の代理出席のバイトだった。この結婚式でニセ家族を演じるのだけれど、そのシーンが何度見てもすごく良い。赤の他人の疑似家族とお互いに干渉し過ぎずに、同じ時間を共有する。こういう人との繋がり方も案外悪くないなと思う。代理出席のバイト、現実にあったら是非応募したいものである。

 

 

 

全部偶然に起こった出来事のように思われるのに、安室にはシナリオがあったのだろうか、七海はどんどん結末へと導かれていく。非現実的にも思える登場人物だけれど、みんな日本のどこかにいそうな気がしてしまうリアル感がある。

 

 

 

どの登場人物も好きだけれど、一番は真白さんのマネージャーさんがすきだな。

 

現実逃避したいときに観たい映画。

 

リップヴァンウィンクルの花嫁

リップヴァンウィンクルの花嫁